一般中小企業で40代・50代の働き盛りのスタッフが「介護離職」するのはなぜか?

中小企業に限らず、企業の働き盛りの社員が「介護を理由」に会社を去っていくことが多くなってきています。今日2025/5/2のNHKニュースで「介護離職 昨年度 調査企業の7%余で発生 民間調査会社」と出ていました。URLを貼っておきます。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250502/k10014794501000.html

1.介護離職は、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

①仕事と介護の両立の難しさ
介護には時間的、精神的、体力的な負担が伴います。仕事との両立が困難になり、疲弊してしまう方が多くいらっしゃいます。特に、急な介護が必要になった場合、対応に追われ、仕事に集中できなくなることがあります。

②介護に関する知識や情報不足
介護保険制度や利用できるサービス、介護用品などに関する知識がないため、どのように対応すれば良いか分からず、不安や負担を感じてしまうことがあります。

③周囲の理解や協力の不足
職場や家族からの理解や協力が得られず、孤立感を深めてしまうことがあります。介護について相談できる相手がいない、または相談しても理解してもらえないと感じると、精神的に追い詰められてしまいます。

④経済的な負担
介護費用は高額になることがあり、経済的な負担が大きくなることがあります。収入が減ってしまうことと相まって、生活が困窮してしまうケースもあります。

⑤会社の制度の不十分さ
介護休業や介護休暇などの制度が整っていない、または利用しにくい雰囲気があるため、制度を利用せずに退職してしまうことがあります。

⑥自身のキャリアへの不安
介護に専念することで、自身のキャリアが中断してしまうことへの不安を感じる方もいます。特に、40代、50代の働き盛りの方は、今後のキャリアプランを考えると、離職に踏み切ってしまうことがあります。

2.なぜ介護休業を使わずに退職する人が多いのか?

介護休業は、法律で定められた労働者の権利ですが、実際には利用せずに退職してしまう方が少なくありません。その背景には、以下のような理由が考えられます。

①休業期間中の収入減
介護休業中は、原則として無給となるため、収入が大幅に減ってしまいます。生活費や介護費用を考えると、休業せずに退職し、アルバイトなどで収入を確保せざるを得ないという状況があります。

②職場への復帰の不安
介護休業を取得後、元の職場にスムーズに復帰できるか不安を感じる方がいます。特に、人員が少ない中小企業では、休業によって同僚に負担をかけてしまうことへの罪悪感や、復帰後の人間関係への懸念などが影響します。

③介護休業制度の周知不足
介護休業制度の内容や利用方法が十分に周知されていないため、制度があること自体を知らない、または利用をためらってしまうことがあります。これは弊社のような社労士事務所の責任もあります。

④休業しやすい雰囲気がない
職場に介護休業を取得しやすい雰囲気がない場合、制度を利用することに抵抗を感じてしまうことがあります。上司や同僚からの理解が得られない、または制度を利用することで評価が下がるのではないかという不安がある場合、休業を諦めてしまうことがあります。経営者の意識改革と組織全体で人を守るという理念が必要となります。

⑤介護の状況
介護が必要な方の状況によっては、短期間の介護休業では十分な対応ができない場合があります。そのため、休業ではなく、退職を選択せざるを得ないケースもあります。介護休業はしょせん93日(約3か月)しかありません。施設入居の段取り等で終わる前提ですね。自宅介護などとなると、到底93日では足りません。それこそ2年3年と介護休業期間が必要となるケースも多いと思います。制度がそこまで追いついていないのが現状です。

3.介護休業の概要

介護休業は、労働者が家族の介護を行うために取得できる休業制度です。主な内容は以下の通りです。

対象となる家族:配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫
休業期間:対象家族1人につき、通算93日まで(3回まで分割取得可能)
取得要件:
・雇用保険の被保険者であること
・介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月
・休業開始予定日の2週間前までに事業主に申し出ること
・休業中の給与:原則として無給(雇用保険から介護休業給付金が支給される場合があります)
その他:
・事業主は、介護休業の申し出を理由とした解雇や不利益な取り扱いをしてはならない
・事業主は、介護休業期間中の代替要員の確保や業務体制の整備に努める必要がある

厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html

4.中小企業経営者の取るべき具体的施策と行動は何か?

中小企業経営者として、従業員の介護離職を防ぐために、以下のような具体的な施策と行動を取ることをお勧めします。この施策が御社の「介護離職」が多くなるか、最小限に抑えられるかの別れめですかね。

①介護に関する制度の整備と周知
・介護休業や介護休暇制度を導入し、従業員が利用しやすいように制度を整備する。
・制度の内容や利用方法を従業員に周知徹底する(説明会、社内報、イントラネットなど)。
・ 制度を利用した従業員の事例を紹介し、利用を促進する。

②相談しやすい環境づくり
・介護に関する相談窓口を設置する(人事担当者、産業医、外部の専門家など)。
・上司や同僚が介護について理解し、協力する姿勢を示す。
・介護経験者による座談会や交流会を開催し、情報交換や精神的なサポートを行う。

③柔軟な働き方の導入
・短時間勤務、フレックスタイム、テレワークなどの制度を導入し、仕事と介護の両立を支援する。
・介護のための遅刻・早退、中抜けを認める。
・業務内容や役割を見直し、負担を軽減する。
柔軟な働き方を導入することは、もはや令和時代ではあたりまですが、昭和時代の経営者はいまだに、子育てや介護に関する理解というか知識が不足している感じがします。少子化で人口が減少しているこの時代、戦力となっている社員が介護の理由で退職していくことだけは避けたいところです。

④介護に関する情報提供
・介護保険制度や利用できるサービス、介護用品などに関する情報を提供する。
・外部の専門家を招いて、介護に関するセミナーや研修会を開催する。
・介護に関する書籍やDVDなどを備え、従業員が自由に利用できるようにする。

⑤経済的な支援
・介護休業給付金の上乗せ支給や、介護手当の支給を検討する。
・介護費用の貸付制度を設ける。
・介護サービス利用料の補助を行う。
これも中小小企業では難しいかもしれませんが、気持ち程度でも良いので「あなたを観ていて、見守っているよ!」のメッセージを発することの重要性や組織メンバーで「お互い様の気持ち」でカバーする機運を醸成していくことが経営者に課された使命かと。

⑥経営者自身の意識改革
・介護離職が企業にもたらす損失を理解する。
・従業員の介護状況を把握し、積極的に支援する姿勢を示す。
・介護離職防止に向けた取り組みを、経営戦略の一環として位置づける。
私個人的にはこの経営者の意識改革が最も手ごわいと思っています。わかっちゃいるけど、経営って売上と利益を出さないと継続できないわけです。人材が一人でも稼働できないと他の人にしわ寄せや新たな人材確保が必要となってきます。それ自体が人件費やコストを挙げていく要因となり、さらに経営困難な状況に追い込まれるわけです。難しいですね。

これらの施策を総合的に実施することで、従業員が安心して仕事と介護を両立できる環境を整備し、介護離職を防止することができます。

中小企業の場合、大企業に比べてリソースが限られているため、外部の専門機関(社会保険労務士、中小企業診断士、地域包括支援センターなど)のサポートを受けながら、自社に合った対策を進めていくことが重要です。また、従業員一人ひとりの状況に寄り添い、きめ細やかな対応を心がけることが、介護離職防止の鍵となります。

5.弊社の福利厚生プラン「従業員お悩み相談解決窓口」設置について

シニアライフ相談サロン「めーぷる」事業

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中小企業に【福利厚生プラン】の「従業員お悩み相談解決窓口」の設置推進を行い、従業員のストレス等の元凶である悩みや困ったを企業が積極的に解決する仕組みをご提供することで、企業様の従業員満足度が向上し、離職等が激減し、結果、売上・収益が向上し、中小企業の活性化が実現することを目指します!
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